「不倫」「浮気」「不貞行為」は、一般的に混同されがちですが、法的には異なる意味を持ちます。「不貞行為」は特に重要で、婚姻関係にある配偶者が他の異性と性的関係を持つことを指します。これは「不倫」という広い概念の一部と考えられ、離婚訴訟において重要な証拠となり得ます。正確な用語の理解は、離婚手続きを進める上で必要不可欠です。
浮気・不倫から離婚を考えている方へ
離婚を検討する際は、まず具体的な手順を整理することが重要です。
配偶者の不誠実な行動が疑われる場合、「不貞行為」の証拠収集が必要となることがあります。
これらの準備を進めながら、将来の生活設計も同時に考慮していく必要があります。
これらの準備を進めながら、将来の生活設計も同時に考慮していく必要があります。
不貞行為とは
離婚の法的根拠として、民法第770条第1項に「配偶者に不貞な行為があったとき」が規定されています。これは一般的に「不貞行為」と呼ばれ、法定離婚事由の一つとして認識されています。具体的には、婚姻関係にある者が、自らの意思で配偶者以外の異性と性的関係を持つことを指し、「貞操義務」に反する行為とされます。日常会話では「不倫」という言葉がよく使われますが、法律上は「不貞行為」という用語が正式に用いられます。この概念は、夫婦間だけでなく、婚約者や事実婚の関係にも適用される広範な概念です。
離婚時争点となるもの
離婚の合意形成が難しい場合、法的手続きを経て離婚を進めることになります。特に、不貞行為の証拠が得られた場合、離婚に加えて慰謝料請求も可能です。離婚を決意したら、手続きの流れを正確に理解することが重要です。離婚届提出前に、慰謝料、親権、養育費、財産分与について公正証書を作成することをお勧めします。これにより、将来的なトラブルを防ぐことができ、新生活への移行がスムーズになります。
離婚の種類
離婚には主に4つの種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
協議離婚
協議離婚は、夫婦間で離婚条件について合意が得られた場合に選択される最もシンプルな方法です。役所に離婚届を提出するだけで成立します。ただし、慰謝料や財産分与、子どもの親権などについて十分な話し合いを行うことが重要です。
調停離婚
夫婦間で話し合いがつかない場合、家庭裁判所の調停を利用するのが調停離婚です。調停委員が仲介役となり、両者の主張を聞きながら合意形成を図ります。費用も比較的安く、プライバシーも守られるため、多くのケースでこの方法が選ばれています。
審判離婚
調停でも合意に至らない場合、家庭裁判所の審判によって離婚が成立することがあります。ただし、これは調停の延長線上にあるもので、当事者の申立てがなければ行われません。
慰謝料について
慰謝料は、心理的損害に対する補償金として定義されます。浮気や不倫に関連する慰謝料の要求は、違法とされる行為によって引き起こされた精神的苦痛に基づきます。このような賠償請求が成立するためには、問題となる行為が法的に不正であると認められることが必須条件となります。
慰謝料の相場
浮気が原因で請求する慰謝料の相場は、状況によって大きく変動します。これは、精神的苦痛に対する賠償金であり、浮気をした配偶者と相手の双方に請求可能です。法的に定められた金額はなく、裁判例でも幅があります。一般的には、夫婦関係継続で50万~100万円、別居で100万~200万円、離婚で200万~300万円程度とされています。実際の金額は、婚姻期間、浮気の継続期間、精神的損害の程度、子供の有無、関係者の社会的地位、結婚生活の質、年齢差、浮気相手の認識など、多くの要素を総合的に考慮して決定されます。これらの要素は、被害者が受けた精神的苦痛の度合いを判断する基準となり、慰謝料の増減に影響を与えます。各ケースの具体的な状況に応じて、適切な金額が個別に判断されることになります。
親権と養育費
親権とは、未成年の子に対する法的な権利と責任の総体を指し、子の監護・養育および財産管理を含みます。一方、監護権(養育権)は親権の一部で、子との日常生活を共にし、実際の世話や教育を担う権利を意味します。この二つは密接に関連しながらも、その範囲と内容に違いがあります。
親権の決定プロセス
親権は、まず夫婦間の合意形成を試みます。未成年の子がいる場合、親権者の決定は離婚手続きに不可欠です。離婚届には親権者の記載が必須で、未記入の場合は受理されません。話し合いで決着しない場合は離婚調停に移行し、調停委員の仲介を受けます。それでも解決しない場合は、審判や裁判へと進展します。
養育費の計算と支払期間
養育費は、家庭裁判所が提供する「養育費(婚姻費用)算定表」を基に算出されます。この表は、別居中で子どもがいない場合の婚姻費用の算定にも使用されます。支払期間は当事者間の合意で決定可能ですが、通常は子どもが成人するまでとされます。金額や期間は、子どもの年齢や両親の経済状況に応じて調整されることがあります。
養育費算定の基本ガイド
1. 算定表の選択
– 子どもの人数と年齢に基づいて適切な表を選択
2. 収入の考慮
– 父親と母親の年収が主な決定要因
– 自営業と被雇用者で異なる基準を適用
3. 別居時の対応
– 離婚前でも別居中なら婚姻費用請求が可能
– 養育費と婚姻費用の算定方法は類似
4. 算定例
– 条件:子ども1人、父親年収500万円(会社員)、母親無収入
– 手順:表1で、縦軸500万円と横軸0円の交点を確認
– 結果:養育費は月額4〜6万円
5. 支払い期間
– 原則:子どもの経済的自立まで
– 具体的期間は夫婦間で協議可能
注意:この情報は一般的なガイドラインです。具体的なケースでは、専門家に相談することをお勧めします。
財産分与
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が共同で築いた財産を離婚時に公平に分配する制度です。以下の3つの種類があります。
清算的財産分与
婚姻中に共同で蓄積した財産を、各配偶者の貢献度に応じて公平に分割します。離婚の原因は考慮されません。
扶養的財産分与
離婚後、一方の配偶者が経済的困難に直面する可能性がある場合、生活支援を目的として財産が分与されます。
慰謝料的財産分与
一方の配偶者の行為が離婚の直接的原因となった場合、精神的苦痛に対する補償として請求可能です。
離婚手続きを急ぐあまり、財産分与の適切な取り決めがなされないリスクがあります。そのため、法的に認められた権利として、双方が慎重に協議し、公正な合意に達することが極めて重要です。
財産分与の対象となるもの・ならないもの
婚姻中に夫婦で築いた「共有財産」が財産分与の対象となります。これに対し、個人的な「特有財産」は分与から除外されます。財産分与は通常、夫婦間の協議で決定しますが、離婚に伴う問題であるため、合意に至らない場合は調停や審判の手続きを経て決められることもあります。この過程では、公平性を保ちつつ、双方の将来的な生活基盤を考慮することが重要となります。
財産分与の対象
財産分与の対象は、名義にかかわらず実質的に判断されます。これには婚姻期間中に取得した共有財産が含まれ、不動産、家財道具、預貯金、車両などが該当します。また、一方の名義であっても、夫婦で協力して得た退職金や年金なども対象となります。つまり、夫婦の共同努力によって築いた財産全般が分与の対象となるのです。
財産分与の対象外
財産分与の対象から除外される特有財産には、以下のようなものがあります:婚姻前から個人が保有していた資産、結婚期間中に相続で得た不動産、個人的な趣味や浪費による負債などです。これらは「夫婦の共同生活とは独立して取得した財産」と見なされます。
財産分与は通常、離婚手続きの一環として行われます。ただし、離婚時に合意に至らなかった場合でも、その後の請求は可能です。重要な点は、離婚成立後2年以内という法定期限があることです。この期限を過ぎると請求権が失効するため、早めの対応が望ましいでしょう。
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